「…はぁー…」

「珍しいね、宮下さんが溜め息なんて…」


…ヤバい。
人に聞かれてるなんて。


そう思って振り向くと、昨日の女の子が立っていた。


「あ、えっと…」

「もお、知紗(ちさ)だよ~」


昨日も教えられた名前を覚えてなかったのに、この子はケラケラと笑っていた。


「ごめんね」

「ううん、宮下さんって名前覚えるの苦手そうだもん!」


そんな風に見えるのか、と少し恥ずかしくなってしまう。

しかも、その通りだから反論なんてできない。

この間までビクビク震えていたはずなのに、今の彼女は笑っている。