【短編】好き。2


大きくて長い、綺麗な手。


そんな手が前髪からこめかみを通って頬に到達した時、あたしは無意識にその手を掴んでいた。



「綾さぁ……」


「なに?」


「誘ってる?」


「なっ……さ、誘ってないっっ!」


「わかった、わかった。そんなにキスしたかったんだ?」



なぜ、そうなるんだ!


でも結局は近づいて来る顔を拒絶できない。



「んっ……」



むしろ嬉しいし……。


翔平の温もりがダイレクトに感じられる。


求めて、求める。


甘い口付けと翔平の愛を。


応えて、応える。


お互いの温かい気持ちを。