みずいろレボリューション



梅雨なんて早く終わってしまえばいいのに。


「じとじとじとじと、うっとうしいなあ……」


雨が降っていると、ずっと世界がどんより暗いから嫌。

どれほどブローしても、学校につくころには髪がぼさぼさに広がっているから嫌。

バスの利用人口が増えて車内がぎゅうぎゅうになるのが嫌。


「はあ……」


机に突っ伏し、盛大にため息をつくと、スクバを片手にやって来たキョンが黒糖のキャンディをくれた。


「帰んないの?」

「帰る……」

「きょうも水無月先輩から連絡なかったのかい?」

「……はい」

「脈ナシ?」

「……はい、たぶん」


屋上での別れ際、メッセージアプリのアカウントを交換した。

通知オフにしてるから連絡が来ても気づかない、
と言われたから、あまり連絡してほしくないのかなと思ってずっと遠慮しているのだけど。

じゃあ、ユウくんのほうからなにかアクションをくれるんだろうなって、わたし的には思うわけじゃん。

なのに1週間たってもいっこうに音沙汰ナシってどういうことなの。


「てか、ふつーにカンナから連絡すればよくない?」

「だってユウくん、通知きってるって」

「だから返事遅くなるかもだけどゴメン、って意味でしょそれは」

「そうでしょうか……」


でも、ヤスくんはつきあい始める前から毎日のようにメッセをくれていたよ。

それも重要じゃない日常のことを事細かに、いまなにしてるー、とか、どこにいるー、とか。


べつに比較をしているわけじゃないの。

ただ、わたしって経験則がヤスくんしかないから。
槙原先輩はあまりにも遠い存在で、恋というより、憧れに近かったし。