「人はそれを恋と呼ぶのである」
チョコミント味のポキッツの先端が、ビシッと音がしそうなほとまっすぐ、目の前に伸びてきている。
ためしにひと口かじってみる。
すーすーしたミントの風味、やっぱりあんまり好きじゃないな。
チョコは大好きなのだけど。
「水無月ユウといえば3年では名の知れたイケメンだね」
「えっ、そうなの?」
「うん、らしーよ。あの人のこと好きな女もけっこういるって。なんとなく近づきがたい雰囲気のせいで、あんまり大々的にモテてるって感じではないみたいだけど」
キョンはいったいこういう情報をどこから仕入れてくるのだろう。
そう疑問に思ってすぐ、そういえば去年キョンってひとつ上の先輩とつきあっていたっけな、と思い出す。
「わたしなんてきのうまで存在すら知らなかったよ……」
「まあ、部活もやってないし、学校行事とかでもべつだん目立たないもんね。水無月先輩と学年を超えて縦の繋がりをもつのは難しい気がする」
そうなんだ。
たしかにユウくん、運動部で汗を流しているイメージも、文化部でまじめになにかに取り組んでいるイメージも、ないや。
同じくらい、体育祭や文化祭ではりきっている姿も想像できないし。
どちらかというと人目を避けてなにかとサボっていそう。
「それにしてもカンナ、まーた大変な相手を好きになったもんだねえ」
「す、好きなんて言ってない!」
「え? 朝から水無月先輩の話ばっかりしといて?」
その自覚はあるから、痛いところ突っ込まないでほしい。



