外に出ると、まるで嘘みたいに雨はすっかり上がっていた。
雲の消え去った夜空にはいくつもの輝きがまたたいている。
ユウくんは相変わらず歩くのが早くて、やっぱりわたしはたまに駆け足になった。
だけど今度はそんなわたしに気づくたび、彼は律儀に足を止めてくれた。
とてもへんてこな放課後だったなあと、不思議な気分になる。
初対面の、それも異性の先輩と、ゲーセンで遊んだ挙句におうちにまでおじゃまするなんて。
あしたの朝起きたら、きょうのことは夢のなかの出来事だったと、たぶん一度くらいは錯覚すると思う。
「あの、きょう、ありがとう。楽しかった……です」
「おれも」
「え」
「なかなかおもしろかった」
隣を歩く横顔が少しほころんだのは、ひょっとするとわたしの見間違いだったかもしれない。
「スニーカー、ほんとにごめんね。もしあれだったら出すからっ、クリーニング代!」
「いいって。あれくらい洗えば落ちる」
でも、こう見えて、けっこう気にしいなところも、あるんだよ。
「ひとりで大丈夫?」
バスの出発時刻が近づいてきたころ、ユウくんがまさに兄という感じに聞いてきた。
「うん、大丈夫だよ! ありがとう」
「あんたのことだからしょうもないことでまた泣き始めて誰かの足でも踏むんじゃ」
「だから! もうっ!」
もしかしたら優しいのかも、と思えば、やっぱりいじわるなことを言う。
よくわからない人だな。
梅雨の天気みたいに掴めない、
でもきっと、本当はとても、とてもやさしい先輩。



