「意外?」
ちょっといじわるな雰囲気に変わった顔さえも、こうも似ているなんて。
ユウくんとサラくん、ほぼ同じ遺伝子情報が組み込まれているのでは、とくだらないことを頭の片隅で思う。
そうこうしているうち、すっかり制服からTシャツに着替えたユウくんが、バスタオルとドライヤー、それからきっとわたしの分の着替えを持って、リビングに戻ってきた。
「おかえり」
「ただいま」
よけいな台詞をくっつけない、4文字ずつだけの挨拶を、兄弟が簡単に交わす。
うちはみんなおしゃべりだから、このあとはすぐにしょうもないトーク合戦が始まるのだけど、年頃の男の子どうしだとけっこうこんなもんなのかもしれないな。
「これ使って」
腕のなかに託されたバスタオルからはシンプルなせっけんの香りがした。
「うち男しかいないから、着替えはおれのジャージで悪いけど」
「え?」
きっといまのはダメな反応だったと、すぐに反省した。
お父さんがいて、お母さんがいる。
わたしにとっての当たり前を、みんなの当たり前だと思ってはいけないよね。
「ごめ……」
思わず謝りかけて、これもきっとチガウな、とまた反省。
「べつに謝るようなことじゃない」
ドツボにハマりつつあるわたしにユウくんは軽く言った。
「洗面所、出てすぐの左のドアだから」
お母さん、どうしていないんだろう。
離婚、死別、それとももっと違う、わたしには想像も及ばないようななにかだろうか。
こんなことを考えるのって趣味悪いよ。
だけどユウくんの、サラくんの、あまり温度のないような淡々とした雰囲気は、母親の不在とまったくの無関係ではないような気がしてしまって。



