ちょっと待ってて、と言ったユウくんに、ぽつんとひとりリビングに置き去りにされた。
びちょびちょなままどこかに座るわけにもいかず、でもじっとしていられなくてそわそわ歩きまわっていると、突然、がちゃりと玄関のドアが開く音。
「ただいま」
ユウくんのそれをちょっと高くしたような、けれどもとてもよく似た声だった。
似ているのは声に限ったことじゃない。
涼しげな印象の顔立ちも、気だるそうな目も。
現れた彼はなんというか、全体的にユウくんを幼くした感じの男の子で。
聞かなくても、言われなくても瞬時に理解する。
絶対に弟さんだ!
どうにもどうしようもできない、明らかに不審なずぶ濡れの女子高生を、中学の制服をまとった男の子は観察するようにまじまじと見た。
こういう目も本当によく似ている。
「……ユウの彼女、でいい?」
「あ! いや!」
「弟のサラです、どうも」
「サラくん! 望月カンナです! よろしくお願いします!」
……いや、じゃなくて!
「あの、すみません、彼女じゃないです!」
キッチンに向かいかけていたサラくんが「え」と足を止める。
「じゃあなに」
「なん、なんだ……? なんですかね……トモダチ、いや、コウハイ……ですかね」
「ふうん。てっきり彼女だと思った。ユウが女子連れてくるのはじめてだから」
今度はわたしが「え」と言う番だった。



