バッティングセンターでわたしが20球すべて空振りするのを、ユウくんはうしろのベンチでおもしろそうに眺めていた。
バットを振りまわしたら多少すっきりはしたけど、それ以上に突き刺すような視線が居心地悪くてね。
監督にフォームをチェックされている球児の気持ち、ほんのひとかけらくらいは理解できたような気がする。
それから、カーレースのゲームをして。シューティングゲームして。音符を叩くリズムゲーム、太鼓のやつ、ワニたたきのやつをめぐって。
「へたくそ」
ぜんぶあまり上手じゃない(というかほんとにへたくそな)わたしに、ユウくんはことあるごとにいじわるにそう言ってきた。
しかも自分は見ているだけでいっさいやらないの。
これじゃぜんぜんフェアじゃない。
「ユウくんもなんかやってよ!!」
怒ったわたしに、だるそうな顔。
ひとりでやってて、と言うけど、連れてきたのはそっちだよ。
「あのぬいぐるみが欲しいなー」
「あ、そ。がんばって」
「なんでー! ユウくんがとってよ!」
「やだ。ていうかなにあのぬいぐるみ、趣味悪」
自力では座ることすらできなそうな、ぐでんとした出っ歯の怪獣。水色なのがまたあやしくて良い味が出ているというのに。
「面食いじゃなかったわけ?」
先を行くユウくんがまたもやいじわるな顔で言った。
「だから面食いじゃない!!」
その証拠に、こんなに整ったお顔をしている水色のネクタイの先輩に、いまわたしは恋をしていないもんね。



