「華音、な」 優しくて低い声に名前を呼ばれて、胸が高鳴る。 「もう遅いから送る」 そう言って歩き出した疾風さんに、私は慌てて駆け寄った。 やっぱり、無理だよね・・・。 私の気持ちを知ったと思うのに、無反応な疾風さんに思わず涙が出そうになる。 無言のまま歩き続けるといつの間にか家の前についていた。 これでもう関わることはなくなるんだろうな・・・。 溢れそうになる涙をこらえていると、 「華音」 疾風さんに名前を呼ばれて、ゆっくりと顔を上げる。