女の家の前につき、女は俺に向かって頭を下げた。 「送ってくれてありがとうございます」 「ああ。じゃあな」 そう言って歩き出した俺の背中に女の声が届いた。 「あ、あの!あなたの名前教えてくれませんか!?」 俺は立ち止まって振り向き、笑った。 「───疾風」 今度こそ、俺は前を向いて歩き出した。 女はそんな疾風の大きな背中を見ながら、「ありがとう・・・」と呟いていたのを疾風は知らない。