歌姫はギタリストに恋をした゚*。㊦

布を取って見えた顔…

それは顔中傷だらけの美海先輩だった…






「美海…車にはねられて・・即死だったみてえ。顔がぐちゃぐちゃにならなかったのが奇跡だってよ…」

「・・・・」


即死って……?

なに言ってんの…?





「サラ?大丈夫?」


呆然と立ち尽くす私を見て…コウヘイ先輩が私の背中をさすった。


そのあとしばらくその霊安室にいたけど…私は一言も話さなかった。

涙も見せなかった…





そして数日後…

美海先輩のお葬式が行われた。


もちろん私も出席し、お葬式が行われている最中…まるで魂が抜けたかのように、なんにも頭に入ってこなかった。でも…





「では…最後のお別れを・・・・」




………。


お葬式の最後に…僧侶が美海先輩が入っている棺桶を開けた。

棺桶の中は、菊の花でいっぱいになっていて…その中で美海先輩の顔だけが見えていた。





“最後のお別れ”


その言葉を聞いた途端…

私は一瞬にして現実に戻った…






「美海……先‥輩っ」