歌姫はギタリストに恋をした゚*。㊦

「おかしいわよね。慶を置いて逃げたあの日から、私は姉をちまなこになって探したのに…一切手がかりはつかめなかった……」

「……!沙知絵さん…慶のお母さんのこと探してたんですか!?」

「うん。一時期は探偵に依頼してもらってたこともあるわ…」

「…そうなんですか。」






すると、沙知絵さんの顔つきが一瞬変わる。



「突然帰ってきた姉にね…“今までどうしてたの?”って聞いたら・・・」

「…聞いたら?」

「ずっとアメリカにいたって…。」

「アメリカ!?」

「ええ。慶を置いて逃げた男とは十の昔に別れたらしいけど、次に知り合った男がアメリカ人だったらしくてね…その人とアメリカに住んで子供までいるのよ…」

「子供も!?」



ってことは、慶には兄弟がいるんだね。

まぁ、血は半分しかつながってないけど…








「姉は言ってたわ。“今の主人に出会ってから、人生が変わった”って。“家族の大切さや子供のいる喜びが初めてわかった”って。だから慶に会わせて…って・・・」

「………」

「私…姉からその言葉を聞いた瞬間・・気がついたら姉の頬を叩いていたの…」

「え…?」



沙知絵さんは拳をギュッと握り、唇を噛み締めた。







「急に慶を置いて出て行って…なんの連絡もないまま、急に現れて“慶に会わせろ”なんて…そんな都合のいい話ある?今まで慶がどれだけ寂しい想いしたのか…あの人にわかるの?」