夏も本番を迎えて、じりじりと暑い日々が続いていた。 アブラゼミが威勢よく鳴いている。 もう少し、ボリューム下げてくれませんか、と言ったところでどうなるわけもなく、五感でただ夏を実感するだけだった。 さすがに歩もこの灼熱の中を、桜の木の下で過ごす根性はなかったようで、冷房の効いた図書室か学食のどちらかに必ずいた。 わたしが学食へ行くと、すぐに彼を見つけることができた。 ど派手なシャツが、嫌でも目を引いた。