わたしは歩の腕にそっと自分の腕を絡ませた。 人と同じ服が嫌いな歩は、相変わらず奇抜なファッションだった。 だけど、歩の隣りを歩くのは、以前ほど恥ずかしくなくなった。 歩は、歩だから。 わたしが選んだ、たった一人の大切な人だから。 歩の腕に寄り添うと、彼はそよ風のような微笑みを浮かべて、わたしの頭をそっと撫でた。 【完】