桜の葉も赤く色づき、一枚、また一枚と枝から去っていく。 本を顔の上に乗せて、桜の木の下に寝転がっている歩に、また一枚葉が舞い落ちた。 「ねえ、歩」 わたしが声をかけると、歩は本をゆっくりずらして、ちらりとわたしを見た。