「チロ?」 「俺んちの犬」 「鼻をサワガニに挟まれたわんちゃん?」 わたしがそう言うと、歩は笑顔を作って、うんうん、とうなずいた。 「ごめん。なんか、恥ずかしいところ見せちゃったな」 歩は、もう一度目頭に指を押し付けた。