「―さっいあくだっ!」

梅雨入りが入ったと昨日言っていたのを思い出した。

さっきまで降る気配なかったじゃねぇかよ。

思いっきり舌打ちしながら、集まる拠点地に向かう。

篠原の奴は、風呂替わりになるって言ってんだろうな。

タバコを取り出しながら、口許が緩み笑みを溢す。

「ずぶ濡れじゃねぇか」

タバコに火を点けようと俯いた直後に、もっとも聞きたくねぇ声が前方に聞こえた。