「拳でしか伝えられない想いがある。
もう私は迷わない。怠慢だ。…ユウ!」
ー怠慢?
ユウの頭に矛盾が線を結んだ。
私はこの者が大嫌いだ。だけど…。
「もちろんお前の傷が癒えたらだ。
お前の家は呉羽だ。好きに来れば良い」
それだけいうと薫は去った。
「…」
薫に冷たくされたことで、
ユウの中では今まで無かった
感情が芽生え始めていた。
憂は薫の無事を確認すると、
歩いて帰っていった。
「やっぱり、あたしを憎まない
ハズがありませんもんね。あなたが」
岸沼中の校庭で睨み合っているのは、
利津とナジカだった。
「安心しろ、あたしは直みたいに情に
熱いわけじゃない。お前を殺したりは…
多分しないさ。保証はしないがな」
「あんたと喧嘩するのだけは、遠慮
したかったんだけどね。双子のあんたは
直より強いのかな?弱いのかな?」
「殴られてみれば分かる」
そして、岸沼中の体育館では
奈央の寧々が睨み合いをしていた。
「直さんの約束を、果たす。
今日で最後にしてやる」
「お前に出来るか?お前は知らない。
あたしだけが知ってる直の本当の狙いを」
「!本当の……狙い?]
「勝ったら教えてやる」
寧々は構えた。奈央も構える。
ゆっくりと息をすう。
利津も同じ動作をした。
「うぉおおおぉ!!」
最後の戦いが、始まった。


