「何であなたは、そんなに直さんの
ことを知っているんですか?それに、
あなたの容姿は…直さんに似すぎてる。
ただの偶然とは思えません…!」
「違うだろ、性格が思いっきり」
「誤魔化さないでください」

余裕そうに話した利津が、驚いた
顔をして奈央を見た。

「…あなたはいつも、寂しくて、冷たくて、
何かを背負ってる目をしてる。何でですか…」
「全部当たってやがる」
皮肉そうにふっと利津は微笑むと、
奈央に近付いて彼女を正面から見る。

見れば見るほど、直にソックリだ。
懐かしくて、会いたいという気持ちが
また溢れて来てしまう。
「…直さん」
思わず声になっていた。
それを聞いても、利津は黙っていた。
そして話し出した。

「呉羽の連中にとって直に似てるあたしが
いるのは…嬉しいし、辛いことだ。そんなの
始めから…分かってるさ」
下を向き、また悲しそうな顔をする利津。

「それでもあたしは、直のやり残した
ことを貫き通したいんだよ」
「…直さんのやり残したこと…?」
「頭として、呉羽を引っ張ることだ。
あいつ、次の次世代を決める前に逝っち
まったからなあ」