「楽しみにしてるっす」
扉の方へ向かうと、薫の肩を
叩いてユウは「撤収」と小さく
声を出した。
仕方なく帰る薫。
扉が閉まるのを確認すると、
波留は1年達を見て言った。
「おっかない人達ですわね。
何もされませんでしたか?」
「俺達は何も…ただ、繭先輩と
憂先輩が…」
「…てっぺんをとる為に来たの
なら、仕方ありませんわ。相当の
実力者という事ですね」
はあ、と一年達は相槌をうつ。
波留はそっと、微笑んだ。
「なんであそこで退いたんだ!?
そのままアイツを潰しておけば
手間が省けただろうが」
「順番ってのがあるんです」
「そんなの守ってる方が変だ」
ドッ
ユウが壁を思い切り叩く。
薫は黙ってその様子を見る。
「ここのルールは、3代目の
てっぺん…直が決めたもの。どんな
事があっても彼女の掟を破っちゃ
いけないんすよ」
「…」
ユウの悲しげな表情から、何かを
読み取った薫はすぐにユウの手を握った。


