「…派留?」
病院につくと利津は青い顔をして
ベッドに横たわる派留を見た。
繭や憂も、同じ病室に来ていた。
憂はこの間の事で自分を責めていた。

派留は白い顔をして、かすかに息を
している。危ない状況だということが
一目で分かった。

横の椅子に座る利津。
ただ祈ることしかできない…。










派留は夢を見ていた。

浜辺で一人、ポツンと立っていた。
皆は探しても何処にも居なくて、
さみしい気持ちで歩いていて
たどり着いたのが海だった。

『…キレイ』
海はザー、ザーと言って派留の
気持ちを和らげてくれた。
それでも不安と絶望、諦めが
頭の中にうかぶ…。

海の中から人が歩いてくるのが見えた。
有り得ないと思いつつ、夢だと思わない
派留。その人物を見ている。
『…!!直?』

直は派留の位置へと行くと、
彼女を見てビックリした顔をした。

『派留!!お前、何でこんなとこに…』


派留の目には涙がたまっていた。
そのまま直の言うことを聞かずに、
直に抱きついた。

久しぶりに見る直の姿。

『もう会えないと思ってた…』
その言葉は、直の胸をも締め付けた。
直も派留を見て、『馬鹿野郎』と微笑む。
そしてすぐに真剣な顔をした。

『しっかりしろよ。お前、代理だろ。
利津のこと支えてやってくれよ』
『あの方は…一人で背負うばかりで、
私に何も分けてくれませんわ…』
直は切ない顔をして言う。

『呉羽はどうなんだ?あたしが居なくて、
色んな学校が攻めてきたみたいだけど?』
『何で知ってるんですか…!?』
『お前らのこと、見守ってるからよ』
直は恥ずかしそうに笑った。