やっぱり、言わないほうが良かったんじゃないかと。


だけど、そう考えたときある思いが俺の頭をよぎった。


『そう思ったら、勇気を出して「行く」と言った凛に失礼だ』


俺は、フッと短く息を吐いた。


そして、抱きしめた腕に力を込め願った。






今から外へ出る凛の目に映る景色が、輝いていますように。


凛に、外の景色の美しさを感じてもらえますように。






そして、一番重要な願いを心の中で唱えながらおでこに軽くキスをする。