少年の言葉を聞いた途端、魔物はまるで呼吸をするのも忘れてしまったかのように、ぴたりと動きを止めました。


「……なんだ。やれやれ」


永遠に続くかと思われた沈黙は、風の音とともに途切れました。



そうか。君は幸せになってしまったのか。



言葉とともに、魔物はさらさらと崩れて消えていきます。


やがて砂は風に吹かれ、静かに飛んでいきました。

乾いた音とともに、鎖が地面に落ちます。