「だって、もうおばあさんだもの。
僕だってここまで来るのにへとへとなのにさ」


「人間はあっという間に老いるな」


そう言えば魔物は一体何歳なのでしょう?

気になりながらも、少年は続けます。


「歳を取るって嫌だよね。昔の話しかしなくなるんだ」


「思い出ばかりにすがる。だから弱いんだ」


鼻で笑いながらも、魔物はどこか苦虫を噛み潰したような顔で言います。


「でも、貴方だってそうでしょう?
だって貴方は、ずっと縛られてる。
その人に」


「違うね人の子。
これは我慢比べなんだよ。
この鎖が腐り落ちて、それでも私が生きていたなら、それは私の想いの勝ちなんだ。私でも何かを愛せたということなんだよ」



「ねぇ、それならもうやめようよ」



少年は、躊躇いながらもその続きを口にします。



「お祖母ちゃんはもう、貴方を思い出の中に閉じ込めてしまったよ」