天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

山登りは中盤に差し掛かる。

女性陣には少しキツイ勾配。

「ほれ、芽々に小夜、もうちっとばかりの辛抱だ。頑張んな」

自分も大きな荷物を背負っているにもかかわらず、宜虎が二人の手を握って引っ張る。

「……」

同じ年代、同じ人間なのに、男というのはどうしてこんなに頼りになるのだろう。

腕力があって、体力があって、何より女の子に気遣ってくれる。

女である自分を、壊れ物のように扱い、大事にしてくれる。

無論、男の全てがそうである訳ではない。

自分が異性に対して夢見ているだけかもしれない。

しかし小夜が今まで見てきた男性は、そして想いを寄せる龍太郎は、そういう存在であると信じていた。