天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

「夏休みったら色々行く機会も多いしな」

歩きながら宜虎が言う。

「補習漬けで丹下の奴もストレス溜まって、こっそり遊びに出て、その先でいい女と知り合いになっていい感じになって、二学期になる頃にはすっかり親密な関係になっちまうとか…まぁ新学期になって劇的に女関係が充実してるってのも、有り得ねぇ話じゃ…」

「た、宜虎君!ストップ!」

慌てて芽々が彼の口を塞ぐ。

見れば、小夜がワナワナと震えている。

背中から立ち昇るのは、どす黒いオーラ。

『龍太郎君がそんな事になってたら…私は…私は…』

憤怒の表情を浮かべて、小夜が頬を引きつらせている。

『城山家に伝わる究極奥義で龍太郎君と刺し違えて、私も一緒に地獄の果てまで龍太郎君と共に…』

「お、落ち着きなさい小夜ちゃんっ…例えばの話だからっ…ねっ?」

芽々が必死に小夜をなだめた。