「ところで」

芽々がきょうこの方を見る。

「さっきから気になってたんだけど、きょうこちゃんその浴衣どうしたの?」

きょうこは金魚の柄の浴衣を身につけていた。

元気溌剌な彼女に浴衣は少々窮屈らしく、多少帯が乱れているが。

「小夜ちゃんとこのお爺ちゃんが、亡くなったお婆ちゃんが若い頃着てた浴衣をまだ持っててさ。好きなの着ていいよって。着付けはよくわかんないから我流だけどね」

きょうこはそう言うが、初めて自分で着たにしては、なかなか上手に着こなせている。

「まだ何着かあったから、芽々先輩も小夜ちゃんも着ておいでよ。夜は浴衣で花火しようよ」