天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

(悔しい!)

心中穏やかではない芽々。

それも致し方ないだろう。

天神学園ではずっとチヤホヤされ続けてきた。

上級生、下級生、同級生を問わず。

異性には毎日のように交際の申し込みを受け、同性には羨望の眼差しを浴びせられる。

「あんな彼女がいたら最高だ」と持て囃され、「私もあんな容姿に生まれたかった」と憧れられる。

芽々はいつだって愛されていたし、それが彼女の存在意義。

愛される為に、神凪 芽々は生まれてきたのだ。

傲慢とも思えるかもしれないが、人造美女たる彼女はいつだって恋愛対象になるべく創造された。

平凡で目に留まる事のない『その他大勢の中の一人』であっては決していけないのだ。