天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

騒がしいばかりで全く話が進展しない。

「じゃあさ」

きょうこが人差し指を立てた。

「小夜ちゃんのおじいちゃんとこに泊まらせてもらおうか?」

「小夜んとこの爺さん?」

宜虎が呟く。

「うん。小夜ちゃんちのおじいちゃんが田舎に住んでてさぁ…結構広い家だから、たくさん人が来ても余裕で寝泊まりできるの。私も一回お邪魔した事あってさ、田舎だから海にも山にも近いし。キャンプも海水浴も出来ると思うよ?」

「へぇ、そりゃいいじゃないか」

葉也が興味深そうに頷く。

確かに海も山もどちらも行けるというのがいいし、何より広い家なのがいい。

(ちょっとしたリゾート気分を味わえそうだな)

小夜に捻り上げられた腕を押さえながら陽が心の中で呟く。

「小夜ちゃんのお爺様はご迷惑じゃないかしら?こんなに大勢で突然押しかけても」

「……」

芽々の心配に、小夜は笑顔で首を横に振る。

孫娘の小夜が友達を大勢連れてくるのだ。

むしろ喜んでくれるだろう。