天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

風を斬るような音と共に、木刀の切っ先が突き出された!

刺突!

如何に真剣ではない木刀とはいえ、急所に命中すれば致命傷を与える。

剣術においては殺人技に分類される技だ。

この刺突を、宜虎は熊の眉間に打ち込む!

…巨体と圧倒的な力を持つ熊も、眉間への一撃には弱いという。

鼻先と同様、眉間もまた鍛えようのない急所の一つ。

その強烈な一撃に、熊の後ろ足がおぼつかなくなる。

そして、咆哮。

いや、悲鳴といった方が的確か。

熊は鳴き声を上げながら茂みの方へと踵を返す。

「すまねぇな」

木刀を肩に担ぎ、宜虎は片目を瞑って熊に詫びた。

「明日にゃお暇するからよ」