天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

剣道で言う所のポピュラーな技、面打ち。

その一撃は、熊の鼻先を掠める程度。

しかしその一撃に、熊は左右の前脚で鼻を押さえて動きを止める。

「鼻っ面引っぱたかれるのは、どんな動物でも痛ぇもんだぁな」

熊の前進を止める為、宜虎は考えた。

熊は全身を分厚い脂肪と筋肉に覆われている。

幾ら鍛えた彼の剣術でも、人間相手とは訳が違うのだ。

通じる筈がない。

ならばたとえ熊でも鍛えようのない場所を。

そう考えた結果の攻撃だった。

そして。

「悪ィな」

宜虎は更に踏み込み、両手で握り締めた木刀を鋭く突き出す!

「ちと痛ぇぜ?」