天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

木刀を片手で構えて。

「まぁ見てなって」

宜虎は眼前の熊を見据える。

「よぉ熊っころ。縄張りを騒がしてすまねぇな。けど別におめぇをとって食おうって訳じゃねぇんだ。ここは山の王者としての度量の広いとこを見せて、ひとつ黙って行っちゃあくれねぇか?」

一応は領域に分け入ってしまった非礼を詫びているつもりか。

そんな事を語りかける宜虎。

…無論、熊に言葉は通じない。

威嚇の為に後ろ足で立ち上がり、もう一度咆哮する!

「っっっっ…」

芽々と小夜が脅えて抱きしめ合い、身を竦めた。

「そうかい、見逃しちゃあくれねぇかい…じゃあ仕方ねぇか…お嬢さん方もおめぇの事怖がっている事だし…」

宜虎が木刀をビュン!と一振りした。

「早々にお引き取り願うぜ」