天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

さて、面子は揃ったものの、まだ夏休みのプランは『海水浴かキャンプか』という程度しか決まっていない。

「山にキャンプに決まってらぁ。海水浴なんてのは、色気づいた餓鬼の行く場所と相場が決まってらぁな」

言い切る宜虎。

「海水浴=ナンパと結びつける辺りが短絡的だね、宜虎」

クールな表情のまま反論する葉也。

「んだと、てめぇ?」

「ん?やるのかい?」

木刀と日本刀を互いに握る両者。

「あわわ、何喧嘩しようとしてんのさっ」

きょうこが慌てて割って入る。

「芽々先輩はどっちがいいです?俺は芽々先輩と海水浴行きたいなぁ~なんて」

明らかにイカガワシイ魂胆を見え隠れさせながら、鼻の下を伸ばす陽。

しかし。

「キャンプ」

陽の思惑を他所に、芽々はキャンプを希望する。

「い、いや…芽々先輩ほどの美貌とプロポーションなら、水着でビーチの男どもを簡単に虜に…」

「キャンプ」

「そう言わずに…芽々先輩のナイスバディでビーチのヒロインに…」

「キャンプ」

「そこを何とかお願いし「キャンプ!」」

陽の台詞に被せて言い張るほどの頑ななまでの芽々の主張。

悪魔のような拒絶に、陽は跪いてショボくれた。

(だって…海で泳いだりなんかしたらショートしちゃうじゃないっ)

密かに心の中で呟く芽々の言い分を、陽は知らない…。