天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

小夜がアタフタとしていると。

「あら小夜ちゃん、丹下君も誘いたいの?」

陽に呼ばれていた芽々が教室にやってくる。

歩く様まで、まるでスーパーモデル。

軽く腕を組んで教室の入り口に立っているだけで、その場にいる全ての者を魅了する。

「でも残念ね、彼は期末テストの結果が悪くて夏休みは補習三昧らしいわよ?」

「…………っっ」

芽々の言葉であからさまにガッカリする小夜。

(ご愁傷様だねぇ…私なんて『教子』になって教師並の頭脳で期末テスト受けたから楽勝だったけど)

今回の期末テストで学年第3位の好成績を修めたきょうこが心の中で呟く。

『丹下君が来ないならこの夏休みのお出かけなんて楽しさ半減だよぅ、せっかくお出かけの為に新しい服とか靴とか買ったのに…』

考えている事丸分かりの小夜。

ここまで思考が読み易いのも珍しい。

「ま、まぁガッカリしないで小夜ちゃん、丹下君いなくても楽しいよ、ね?」

跪く小夜の肩を叩く芽々。

『えっ!えっ!何で丹下君の事考えてるのがばれちゃったのっ?』

小夜は激しく狼狽する。

「ばれてねぇと思ってるとこが初々しいやな」

宜虎がゲラゲラと笑った。