コンコン…

「はい。」

「ユキさん、ちょっといいかい?」

病室から私を談話室へと案内するナツキのお父さん。そこには主治医の先生が待っていた。

「あの、何でしょう?」

「そんなに緊張しなくていいよ。これからの注意を話すだけだから。」




それはナツキになるべく負担をかけないようにする事だった。

本人に聞かれても、すんなり答えを教えるのではなく、ヒントぐらいにする事と、一度にあれこれと焦って答えを出そうとしない事。そして何よりも混乱させない事。本人にとっては大変なストレスになるからね、と付け加えられた。

約束した事を守れば普通の生活はもちろん、学校も行っていいと許可が下りた。

よかった。これで元の生活に戻れる。

そう信じていた。