両親の顔を忘れてしまったと言っていたナツキだったけど、こうして三人並んでいるのを見ると、よく似てる。目元はおじさん、口元はおばさん。背格好はおじさんにそっくりだ。誰が見ても親子だって言うよ。よかった…。よかったね、ナツキ。

落ち着いた後、私やお母さんも混じって色んな話をした。偶然、学校で再会した事。学校の文化祭や体育祭で活躍した事。記憶を取り戻したきっかけ…。特に体育祭の借り物競争での話になると、口を押さえられて、「それ以上言ってみろ。後で仕返ししてやる。」と脅された。

ナツキが一番驚いたのは弟妹がいるという事。ナツキが行方不明なってから生まれたらしい。

弟は小学4年生で、顔は小さい頃のナツキにそっくりだと言った。性格はナツキよりやんちゃらしい。

妹は小学3年生で、おませで口達者。いつも兄弟喧嘩ばっかりだとこぼした。

ナツキの事は話してあって、会えるのを楽しみにしていると言っていたらしい。

「俺に弟や妹がいたなんて思いもしなかった。俺も楽しみにしてる。」




高島のおじさんおばさんは一旦自宅へと戻り、そしてナツキは入院中のお母さんの元へ出向いた。