お母さんは何事もなかったかのように、

「おはよう。二人とも顔洗ってらっしゃい。もうご飯の用意できたから。」

そう言って食卓に朝食を並べると、妹のユイを起こしに行った。

リビングに入って来たユイは寝ぼけた様子で、チラリとナツキを見ると、一気に目が覚めたようだった。

「えー!何で何で?何でお姉ちゃんの彼氏がいるの?泊まったの?あー、さては夕べ…やっちゃった?」

「やっちゃった…て何を?」

「もー、やっだあ。すっ惚けちゃってえ。」

バシバシと私の背中を叩く。

「痛いって…。」

「好き同士の男女があ、一晩一緒にいて、やっちゃったって言えば、アレしかないでしょー!キャー、お姉ちゃんたら何言わせんのよお!」

真っ赤になるユイに、「あ…。」と気がついて、こっちが赤くなった。

「ば…ばか!何言ってんの。こんのマセガキ!!」

ユイの頬を引っ張ると、「いひゃい、いひゃい!」とジタジタ暴れた。

「もう煩いわね。早く食べなさい。」

私たち家族にとっては何気ない朝の風景。でもナツキにとっては兄弟喧嘩なんて初めての事で、ちょっとびっくりしてたみたい。