*****
小僧が必死な顔で出て行く。
写真に写っておった女は、それほどまで大事な者ということか。
「はぁ~……厄介なことになりそう」
「何を今更。いつものことではないか」
「そりゃそうだけど、厄介なことに変わりないでしょ?」
「ふっ。――違いない」
コタツの上に座り、エフと向かい合う。
「お主の言うとおりになってきたな。土地だけではない。人間の心も穢れが進んでおる」
「これ以上悪くなったら、またハクが暴れちゃうわねぇ~ははっ」
「ワシを魔にするか神にするか。それは人間次第じゃからな」
初めから悪などない。決めているのは人間の信仰。幾千もの個があるから、それぞれ求める存在が違う。ワシらはただ、そこに住む者がどう求めるかで決まっているだけじゃ。
「でも、ハクは自分で決めてるようなものじゃない。本殿のご神体――あの子が背負ってたものぜ~んぶ、ハクが処理してるんだから」
「忌み嫌われる黒猫じゃぞ? 本来なら、このような扱いをされるはずなどない存在じゃ」
ワシは昔から思っておる。人間とはなんと愚かなものかとな。
いつの時代も、誰かに罪を擦り付けなければ生きていけない。自分では何もせず、ただ傍観するだけで文句ばかり。何度殺してしまおうかと思ったかわからぬ。
それをせずにいられたのは、一人の少女に希望を見たからじゃ。
なのに人間は、ようやく現れた希望さえも、己の手で壊してしまった。
だから――ワシはここにいる。
あの子を支えよう。
崇められるのはワシではない。
相応しいのは――あの子じゃと。
小僧が必死な顔で出て行く。
写真に写っておった女は、それほどまで大事な者ということか。
「はぁ~……厄介なことになりそう」
「何を今更。いつものことではないか」
「そりゃそうだけど、厄介なことに変わりないでしょ?」
「ふっ。――違いない」
コタツの上に座り、エフと向かい合う。
「お主の言うとおりになってきたな。土地だけではない。人間の心も穢れが進んでおる」
「これ以上悪くなったら、またハクが暴れちゃうわねぇ~ははっ」
「ワシを魔にするか神にするか。それは人間次第じゃからな」
初めから悪などない。決めているのは人間の信仰。幾千もの個があるから、それぞれ求める存在が違う。ワシらはただ、そこに住む者がどう求めるかで決まっているだけじゃ。
「でも、ハクは自分で決めてるようなものじゃない。本殿のご神体――あの子が背負ってたものぜ~んぶ、ハクが処理してるんだから」
「忌み嫌われる黒猫じゃぞ? 本来なら、このような扱いをされるはずなどない存在じゃ」
ワシは昔から思っておる。人間とはなんと愚かなものかとな。
いつの時代も、誰かに罪を擦り付けなければ生きていけない。自分では何もせず、ただ傍観するだけで文句ばかり。何度殺してしまおうかと思ったかわからぬ。
それをせずにいられたのは、一人の少女に希望を見たからじゃ。
なのに人間は、ようやく現れた希望さえも、己の手で壊してしまった。
だから――ワシはここにいる。
あの子を支えよう。
崇められるのはワシではない。
相応しいのは――あの子じゃと。



