セブンデイズ・リミテッド(仮)



「一度消えた人に目印を付けてたら、病院で反応が出たらしいの」


 どこ、とは言わなかったが、学校上にあるあの場所だと思った。


「クロ、中はどうだったの? 見たんでしょ?」

「敷地内だけだがな。外にいたのは軽度の患者のみで、特に怪しい存在は認識出来なかった。もし反応が出たとすれば病室の何処かか、オレの認識を欺く存在がいる、と言うことになる」

「へぇー。もし後者なら結構やるわね、クロを欺くなんて」

「本当じゃのう。感覚は優れているというのに」


 返事をしたのは猫。突然の登場だが、空から降って来たエフほどの驚きじゃない。オレは台所から、手懐け用の大福を猫に差し出した。本当に悪夢を見せられてはたまらないから、特大サイズを用意している。


「おぉ~! これまた食べ応えがありそうだ」


 見るからに機嫌がよくなった猫。そのままエフの膝でくつろぎながら、自分の顔よりも大きな大福を食べ始めた。


「まさかハクにも会えるなんてねぇ~。大福につられて来たの?」

「違うわい。そこの女が挨拶に来てな。お主以外に訪ねる者など珍しいから来ただけじゃ。そういうエフこそ何故ここにおる。仕事はよいのか?」

「今日はもうやめなの。ひーちゃんと寛ぐんですぅ~」

「怠け者じゃのう。主がこれだと、使いは苦労するな」

「失礼ねぇ。ハクみたいに気紛れじゃないわよ」


 ……なんかもう、こっちが言わなきゃどんどん二人だけで話していくらしい。


「頼むから、二人の関係を説明してくれ」


 そもそも、猫の名前だって初めて聞いたし。懐かしいのはわかるが、内輪だけで進めるのはやめてほしい。


「ん~なんて言えばいいのかなぁ?」

「まあ簡単に言えば、ワシらは【元敵同士】じゃ」

「はっ? 敵ってな――っ!」


 途端、雰囲気が重くなった。原因は(主に)男とひの。二人は猫をじっと見つめ、どうでるのかを見極めているように思えた。


「クロ、目付き怖いよ? 神様にそんな顔しないの」

「……神様だろうと、貴女の敵になるかもしれない存在に気は抜けない」

「だから元敵だって。ハクを封じたのは私だから、また敵になるようなことがあっても大丈夫。クロを捕まえるよりも楽だしね」

「捕まえたのはひのだ。貴方じゃない」

「ひの――? あ、名前もらったんだ。よかったねぇ~!  ってかクロ、呼び捨てなんてなれなれしいじゃない」

「本人がそう希望したんだ。貴女がとやかく言うことじゃない」

「全く、本当に使いなのかしら? 私に口答えばっかりだし」

「貴女とは対等な関係だ。根本的なことを忘れてもらっては困る」

「やはり使いの方が苦労しているようじゃな。男、今度エフについて語らおうではないか。秘蔵の酒もあるぞ?」

「ふっ、面白そうだな」

「……あのさ、そういうのは後からしないか?」


 大事なところで止まったままだろうと言えば、エフは今更のように思い出したような顔をした。