「っ!?」
ずきり、頭が疼(うず)く。途端、それまで聞こえていた声は途絶えた。痛みは一瞬のもので、今はなんともない。今日は本当、体調が優れないらしい。ため息をはきながら、視線を足元に落とす――と。
「?――――!?」
それは、夢と言うにはおぞまし過ぎる光景。
足元には、人の顔らしきモノが存在して。あまりに信じられなくて、オレはそれを、ただじっと見ていた。
「っ!?」
途端、それはオレの足にまとわりついてきた。自転車から離れ、なんとかそれをはらうと、距離を保った。
今のは――――なんだ?
幻覚? それとも夢?
どちらにしろ、いいモノではないと全身が警告した。
■■、■■■……。
まただ。
今度は――とても近い。
耳を澄ませば、声は自転車の近くから聞こえるようで。声がする方を、じっと見つめる。それをどれだけ続けていたのか。一分か。十分か。それとも……時間の感覚がわからなくなるっ。
あそこに何かいるのは間違いない。



