アイツと私の婚約ドタバタ生活

【真也】

「病院連れて行って。総合病院な」

「はい」

俺は運転手にそう言うと、ある番号を携帯で呼び出した。

『もしもし?』

千景に似ている声が俺の携帯から聞こえる。千景の母さんの声だ。陽気で、どこか人を安心させるその声は、俺も落ち着かせた

「千景がたおれました」

単刀直入に言う俺の言葉に、千景の母さんは何も言わなかった。何かを考えているのか、びっくりして声が出ないのか受話器越しの俺には分からない

『また、倒れたのね。最近は安定していたんだけど…』

また?最近は安定していた?何のことだ?どういうことだ?千景はよく倒れていたのか?最近落ち着いていたのならなぜ今、倒れるんだ?

さまざまな疑問が俺の中で入り混じる

『真也君?今から言う人のところに行って。総合病院の人だから』

なんで指名?主治医とかなのか?

俺は疑問を薙ぎ払い、メモ帳を用意する。