アイツと私の婚約ドタバタ生活

ドサッ

つかまれていた女は地面に落ち、倒れる

それを無表情で見ている千景。あの女の頭を握っているときも無表情に近かった…

「ち…かげ?」

「…おい…そこのクズ」

「はい!?」

一瞬俺に行ったのかと思ったが違うらしい。千景の視線は俺を犯そうとした女に向けられていた。そのメガネの奥の瞳はどこまでも暗く、重かった。この瞳を見たら誰でも逃げ出したくなる

女には光の反射で見えないのか、千景を見据えていた。

さっきとは打って変わって余裕そうに

「そいつを離せ」

「いやよ。離してほしかったら土下座しなさい」

ちょっと待て。どっから土下座が来た?

と、言葉にしたいのは我慢して俺は千景を見た。さっきと変わらぬ暗く、重い瞳が女を写し、次の瞬間

「なっ…」

消えた