「痛いです。私は素直な感想を述べただけなのに…」

小突かれたのが後頭部という人間の急所ともいえる場所だったので、私は痛さに目に涙をためながら母を非難の目で見た

プイ

あっそらしやがった

母は見事に私から顔をそらした。っていうか綺麗な顔してるなぁ…この人…もう40歳なのに…いいなぁ…なんで私にはこの人の遺伝子が伝わらなかったんだろう…?伝わってたらもうチョイましな顔だっただろうに…

私は不細工だ。しかもメガネにおさげときた。こりゃモテないわな。自分でもそう思うが、髪形を変えるのも面倒くさいのでそのまま。母も父も美形なのに…なんで私は不細工なんだろう…?

「ほら、千景も自己紹介」

母にせかされて私は自己紹介を始めた。

「木下千景。……君と同じ16歳…いて」

今度は自己紹介の途中に母にまた後頭部を小突かれた。なんなんだ、いったい

「君じゃなく真也さんね」

……ちょっと名前を忘れただけじゃないか

私はそんな思いを込め、母を軽くにらんだ