アイツと私の婚約ドタバタ生活

「…」

俺はあいてる右手でナイフを取り、足の縄を切る。千景は相変わらずおっさんを握りしめたまま俺を見下ろしていた。そして、見下ろしたまま青ざめる


俺が縄を切った時にそのまま勢いで足に傷をつけたからだ


「真也…脚」

千景がおっさんをドサッとその場に落とす。息はしているようだ

「…千景」

俺は痛む脚を無視して千景に歩み寄る

「……脚…」

千景は俺の紅く染まった足を見ながら震える

「…これくらい大丈夫」

「…本当?」

軽く涙目になっている千景。

俺は千景の頭を優しくなでた


「…?」

「無茶するなよ?」

「ん」

素直にうなずく千景はどこか不安そうだった

「千景?」

そんな千景を見ていられなくて思わず声をかける