アイツと私の婚約ドタバタ生活

「おっさん…生まれたての小鹿みたいに震えてる」

「う…うっさい!!怖いんだ!!」

怖いならおとなしくしてればいいのに…

「…死ねば?」

なぜか後ろから聞こえる声。もちろん千景だ

「はぁ!?」

尋常じゃない速さにおっさんは驚く。そりゃまぁ…一瞬で今までいた場所から真後ろまで来られたらね…

ぎりぎりと、頭蓋骨が軋む音がする。嫌な音

「のぉぁぁぁぁあ!!!」

響き渡るおっさんの悲鳴

スッと離れるおっさんのナイフ

「…千景?」

「こいつ…殺す」

「千景。俺は無事だから」

「…怪我してる」

「…大丈夫だから」

おっさんが気を失っているにも関わらず、頭蓋骨を握りつぶそうとする千景をなだめる。くそ…足がしばられてて動けねぇ…

カラン…

おっさんのナイフが地に落ちる