アイツと私の婚約ドタバタ生活

「あの…手首だけ解放してください。電話が掛けられません」

俺は手首を誘拐犯に差し出す。すると、誘拐犯はすんなりとほどいてくれた

「えーと…」

千景の番号を呼び出す俺。下手に警察とか読んだら殺されそうだし

誘拐犯は以上に笑顔だった

「もしもし?千景?」

「千景」の名を聞いた瞬間、誘拐犯の笑顔が凍ったのは気のせいだろう

「『…真也…そこ?』」

千景の言葉が近くから聞こえる。

携帯からも、直接自分の耳にも聞こえてくる

「『ねぇ、そこ、だれかいる?いるなら代わってくれない?』」

千景は俺が閉じ込められているところの外にいるらしく、外からも、携帯からも声が聞こえた

「おっさん、千景が」

「千景って…」

誘拐犯の顔は真っ青のまま。俺は手に携帯を持たせる



千景は…いったいこいつに何をしたんだろう…