教室に入り、わたしは笑顔を浮かべました。

「おはよう!」

いつもより明るい声を出しましたが、クラスメート達の反応はありません。

「…アハハ」

いつもなら大声を出すことはないんですけど、どうしてもこっちを見てほしくて、あえて出してみたんですが…失敗です。

「おはようさん、随分大きな声だな」

「ひゃっ!?」

突然後ろから声をかけられ、わたしは飛び上がりました。

「あっ、雨流(うりゅう)くん。おはよう」

同じクラスの男子生徒、雨流くん。

彼はわたしが周囲の人達に無視をされ始めてから、親しくなりました。

と言うのも、わたしの存在を無視しないのは彼と、他にも数人の人だけなのです…。

「大声を出せば、みんなビックリしてこっちを見るかな~っと思ったんだけどね」

「そんなことしたってムダだって。お前の声、届いてねーんだから」