失ったモノ

「前にも言ったと思うけど、ムリよ。美羽は結構頑固者だし、自然と諦めるように促すことしかできないわ。その上で、改めて説明した方が一番平和的よ」

「はあ…。面倒な同級生だな」

「それを言うなら雨流だってそうじゃない。とっくに旅立てるのに、いつまで学校に来てんのよ?」

「地縛霊になった摩耶に言われたくない。つーか先生まで何だよ?」

「ワシは先生、だからな」

雨流は頭をかき、深く息を吐いた。

「ったく…。アイツの周りに声をかけるヤツがこんなにいたら、諦めるまで時間がかかりそうだな」

「まっ、根気強く付き合ってあげましょうよ。どーせ他にやることなんてアタシ達にはないんだし」

「…だな。せめて成仏する時は、一緒にいてやるか」

三人はそろって夜の街を見た。



―今こうしている間にも、美羽のようなモノが生まれていることを感じながら…。