「お、鬼山だぁあ!!!」

「逃げろー!!殺される!!!」

「……おい、大丈夫か、」

「ぅ…あ、う、うわぁぁあ!!!」


「………………」


俺の名前は鬼山龍二。
2週間後には高校の入学式を控えている15歳だ。

食料を切らしていたため、調達した帰り。何やらカツアゲまがいなことをしていた不良に、「オイ」と一声かければ。

怯えた顔をして去っていく不良と、被害者の中学生。


一体何なんだ、昼間から気分わりーな。


最近はこんなことばかりだ。
顔を見れば逃げられる、まるで化け物扱い。
金色に染めた短髪も、眉毛につけてるピアスも、別に相手の恐怖心を煽るためにやったわけではいのに。



誰もいないアパートのドアを捻る。
中からは何も聞こえず、ただ風が通るばかり。



俺は物心ついた頃から1人だった。


父親の顔も母親の顔も見たことは無いし、兄弟だっているのかも分からない。
このアパートだって誰名義なのかすら知らない。

なのに俺は何の障害もなく、小学校に入学し、中学校に上がって、受験を終え、また高校に入学しようとしている。