次の日。
私はある公園の前で朝早くからじっと立っていた。
過ぎ行く人は皆、私をチラ見していくけど、全然気にしない。
もう慣れたんだ。
だけど、私がここに立ってるのは、皆に見てもらいたい訳じゃない。
「ごめーん、沙紀!遅れた!」
後ろの遠くの方から私を呼ぶ声が聞こえて、私は振り向いた。
そこには、慌てて走ってくる律ちゃんの姿があった。
「ホント、ごめん。待った?」
「全然、平気だよ」
律ちゃんは息を切らして私に尋ねてきた。
昨日の帰りに、律ちゃんと私の家が近いことに気づいて、律ちゃんと一緒に登下校することになった。
残念なことに美羽ちゃんは家が反対で、しかも帰りは彼氏のバイク。
なんか素敵だな…。
「ってかさ、沙紀って何組?」
満員電車の中で、乗客の人に押されっぱなしの私に律ちゃんが聞いてきた。
「C組…だよ」
「アレ…?アタシ、沙紀と同じクラス?」
「え?律ちゃんもC組なんだ」
「アタシだけじゃなくて、美羽もC組だよ」
「美羽ちゃんも…」
「ってか、同じクラスにいたってのにお互いに気づかないって、ウチら馬鹿だろ」
律ちゃんが笑って言うから私もつられて思わず笑ってしまった。
友達とこんな風に仲良くしたことなんてあまりなかった私。
だから、律ちゃんや美羽ちゃんと過ごしいけばと多分、初めてだらけのことでいっぱいになると思う。
「なぁ、沙紀」
「何…?」
「もう絶対に学校で眼鏡は外しちゃダメだよ?」
「え、どうして?」
「どうして、って…。……眼鏡外した沙紀、めっちゃ可愛いかったから…」
え、そんなこと……。
「そんなことあるわけないじゃん。…だって皆、変な目で見てきたよ?」